2019年12月から管理システムが新しくなり、規制が厳しくなったコンサータ。
そのコンサータの新管理システムについて患者さん向けにその要点を簡潔にまとめてみました。
なお、新薬であるビバンセの管理システムもコンサータと同様の管理システムで管理されます。
1.何が変わったの?
- コンサータを処方する医師と調剤する薬局が「コンサータ錠適正流通管理委員会」の承認を受け、登録をしなければならなかった。
- 患者さんは処方箋(と保険証)があれば、コンサータを薬局で調剤してもらえた。
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- 患者さんも「管理委員会」への登録が必要となった。
- 登録された患者さんであることを証明するための「患者カード」と「身分証明書(健康保険証など)」を薬局で提示しなければならなくなった。
普段から健康保険証を持参している人は、それが身分証明書になるので、「患者カード」の方を特に忘れないように気をつけないといけませんね。
2.患者登録には何が必要?
患者登録年月日
患者のイニシャル・性別・生年月日
患者または代諾者による同意取得済みの旨
患者同意取得時の本人または代諾者の本人確認済みの旨
患者及び代諾者の薬物乱用歴の有無
第三者からの症状に関する情報を確認済みの旨とその情報源
署名について
上記の(3),(4)について、20歳以上の人は本人の署名があれば問題ありません。しかし、20歳未満では以下のように代諾者の署名が必要です。
- 12歳未満→代諾者の署名のみ
- 12歳以上20歳未満→本人及び代諾者の署名
この場合、代諾者=保護者(あるいは保護者に相当する親族や福祉関係者など)と考えて問題ないと思われます。
第三者からの症状に関する情報について
上記(6)の「第3者からの情報」については、管理委員会に問い合わせてみたのですが、ADHDの診断基準の一つに「不注意/多動性/衝動性の症状が2つ以上の状況(家庭、学校、職場など)において存在する」というのがあり、そのためにこの「第3者からの情報」が必要となるとの回答が得られました。
「第3者からの情報」は通知表、連絡帳、母子手帳あるいは家族・会社の人からの情報提供が該当するとのことです。
ただし、管理委員会に「第3者からの情報」についての書類を提出する必要はなく、「医師が第3者からの情報を確認した」という事実があれば良いとのことです。
3.いつから新管理システムで管理されるの?
- 今までコンサータを処方されていた患者さんは2020年12月31日までは今まで通りに処方してもらうことができるので、それまでに患者登録をして、患者カードを発行してもらえば問題ありません。
- ただし、医師がコンサータを処方するために必要な登録については、2020年6月30日までに新管理システムに従った登録をしなければなりません。そのため、コンサータ処方の登録を取りやめる医師が出てくる可能性もありますので、心配な方は担当医に確認したほうが良いでしょう。
- 一方、新たにコンサータを処方してもらう患者さんは、患者登録をしなければ、処方してもらえない状態とすでになっています。
- なお、コンサータで患者登録をしている場合、ビバンセを処方してもらう時に、再度患者登録をする必要はありません。
4.そもそもなぜコンサータに規制が必要なの?
コンサータに規制が必要な理由についても書いておきます。
コンサータの成分は「メチルフェニデート」という中枢神経刺激薬になります。 ナルコレプシー(いわゆる居眠り病)の薬であるリタリンの成分も「メチルフェニデート」です。
かつてリタリンはうつ病の薬としても用いられていましたが、依存性や乱用が問題となり、うつ病の適応は取り消され、コンサータおよびリタリンは厳格に管理されることとなりました。
ただし、別記事でも書いたように、コンサータは徐放錠のため、実際は依存や乱用は起こりにくい薬になっています。
- ヤンセンファーマ株式会社(2007)『コンサータ錠18mg,同27mgCTD 第2部 CTDの概要2.5臨床に関する概括評価』
- 厚生労働省(2019)「メチルフェニデート塩酸塩製剤(コンサータ錠18mg、同錠27mg及び同錠36mg)の使用にあたっての留意事項について」
- 西井重超 (2019) 「【コンサータ】ADHD適正流通管理システムによる登録~処方の流れ【ビバンセ】」”https://ameblo.jp/kokoro-dr/entry-12552167330.html”(最終閲覧日:2020年2月9日)